目次
1 養育費とは
養育費とは、子供が社会人として自立するまでに必要となる費用です。衣食住の経費や教育費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用が養育費にあたります。
養育費はいつから支払ってもらえるの?
離婚が成立したときから、お子さんを監護していない方(非監護者)がお子さんを監護している方に対して支払う義務が発生します。離婚時に養育費を取り決めていなかった場合は、養育費の支払い請求がなされたときから支払うということが多いです。
養育費はいつまで支払ってもらえるの?
目安としては、お子さんが高校を卒要する18歳、20歳、大学を卒業する22歳などが多いです。
2 養育費の金額等について
各家庭の経済状況、お子さんの進学状況、その他必要な費用は様々ですから、お互いが話し合いをして自由に決めることができます。
しかし、当事者間で決めることができない場合などは、実務上、裁判所が公表する算定表(https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)に基づいて金額を定めることが多くあります。
例えば、父の年収600万円、母の年収100万円、お子さんが長男16歳、二男9歳、妻が子2人を監護しているのケースでみてみましょう。
この場合、第1子が「15歳以上」、第2子が「0~14歳」ですから、「表4」を使います。
そして父は非監護者であるから「義務者」となります。義務者の年収を表4の縦軸にあてはめます。また、母は子を監護している監護者ですから、母の年収を表4の横軸にあてはめます。それぞれに直線を引いて、二つの線がクロスするところをみると、「10~12万円」の領域に該当します。この金額は月額のお子さん二人分の養育費です。その領域の下の方に該当するから、毎月の養育費は10万円とするような具合です。
算定表を使用する上での注意点
算定表の金額はあくまで目安ですから、お子さんに必要な費用等を考慮して、柔軟に取り決めても構いません。
もっとも、算定表は以下の場合を想定していませんので、以下に当てはまる場合は、算定表を用いるのではなく、別途詳細な計算が必要となりますから、弁護士に相談することをお勧めします。
例)・年収が2000万円以上
・お子さんが4人以上
・お子さんを父母の双方が監護している
算定表よりも養育費が高くなることはありますか?
算定表はお子さんが公立学校に在籍(進学)することを想定していますから、私立学校に在籍(進学)し、通常の効率学校よりも高額な費用が掛かる場合は、その費用の分担をどのようにするかを取り決める必要があります。
また、算定表の想定する公立学校は高校までです。そのため、大学の費用や毎月の仕送り、留学費用などは想定されていません。
さらに、お子さんに特別な医療費がかかる場合も、算定表が想定する医療費との差額分について、どちらがどの程度負担するのか協議する必要があります。
養育費を一括で支払ってもらうことはできるの?
養育費は、通常、毎月払いに設定することが一般的です。
他方で、一括で支払うという合意も法律上は有効です。支払を求める側からすれば、相手が今後支払ってくれるかわからないという不安を抱えるよりは、一括で先に支払ってもらいたいという場合もあると思います。しかし、デメリットとしては、合意後に相手方の収入が増えたとしても、追加の養育費請求が困難になる場合がありますし、贈与税を課される可能性もあります。
一旦決まった養育費は変更できますか?
一旦合意した養育費の金額については、お互いが再度合意をするか、あるいは、合意の前提となった事情に変更が生じた場合には、変更が認められる場合があります(「事情変更」といいます。)
この事情変更には、例えば、勤務先の倒産や病気による休業等により大幅に収入が減少した場合等がありえます。しかし、多少の収入の増減はここには該当しないことが多いでしょう。
3 養育費を支払ってもらうためにはどうすればいいの?
①話し合い
まずお互いが話し合いで金額や支払い方法、支払期間等を協議することが多いです。話し合いができたら、口約束で終わるのではなく、きちんと合意書等の形に残しておくことをお勧めします。なぜなら、金額や支払日があいまいになってトラブルになることもありますし、また、支払が滞ったときに裁判などの法的手段をとる場合に証拠がないと請求が困難になるケースがあるからです。
②調停
話し合いがうまくいかない場合、裁判所の調停という手続きをとることがあります。
調停は家庭裁判所調停委員2名が立ち合いますから、当事者間で話をするより、うまくまとまる可能性が高まります。また、調停は、直接当事者同士で顔を合わせる必要はなく、調停委員を介してお話しを進めることができます。
③審判
どうしても調停では成立しない場合は、裁判官に「審判」で判断をしてらもらう場合があります。
夫が「面会交流させてくれないのであれば、養育費を支払わない」と言っている場合はどうすればいいの?
子と非監護者が会うなどして交流することを「面会交流」といいます。この面会交流と養育費の支払いをセットで主張してくる方は多くいます。たしかに、お気持ちとしては理解できるのですが、養育費は子に対する扶養義務に基づいて法律上発生する義務です。そのため、面会交流が行われているか否かとは関係がありません。したがって、かりに面会交流が実施されていなくとも、養育費を支払わなければなりません。支払を求める側としては、上記①~③の手段に則り、養育費の支払いを求めていくことになります。
4 養育費については弁護士にご相談ください
養育費については、感情的な問題などから、当事者間で決められないことが多くあります。
また、普段のお仕事や家事育児に追われ、なかなか養育費の問題を解消することができない場合もあります。
当事務所の弁護士は数多くの養育費の問題を解決してきましたので、養育費解決のためのノウハウがあります。
まずは当事務所にお気軽にお問合せください。